サネル地区は広大な農地が地区の面積のほとんどを占めているため民家も施設もまばらで遠くを見ると巨大な木の枝に沿って農地が広がり上も下も右も左も何かしらの作物が植えられている。
　走虫から降りたクロスとリーサズは駅員にランジ農家の場所を聞いて駅から出た。
「うわっ。すっげえ！そこらじゅう農地だよ！」
　リーサズが周りを見渡しながら目をキラキラさせていると青い顔をしたクロスがとぼとぼと隣に歩いて来て言った。
「なんであんな生き物がこの世にいるんだ。」
　リーサズはその様子を見て「ははっ。」と笑うと
「虫が苦手なんて珍しいな。これから虫退治だってのに大丈夫か？」
　と聞いた。
「虫じゃなくて長いのが駄目なんだ。」
　クロスはぼそっと答えた。
　リーサズはまた「ははっ。」と笑うと
「なら大丈夫だな。頼りにしてるぜ相棒！」
　そう言ってクロスの肩をポンポン叩いて言葉を続けた。
「歩いていける距離みたいだからとっとと行こうぜ。」
　クロスは急に背筋をシャンとさせ
「そうだな、早く終わらせてゆっくりしよう。」
　そう言って歩き出した。
「おっ、頼もしいね。」
　リーサズはそう言ってクロスの後ろからついていった。