その男は駆け出しの魔法使いであった
魔法使いは魔法研究の旅の中で名を持たない女の戦いの歴史に気付く
名を持たない女は獣や魔神と呼ばれる脅威と戦いその地に安定をもたらすということを人知れず繰り返していた
魔法使いは戦いを続けている名を持たない女の力になりたいと願い女の戦いの記録を世界に広め熱心に魔法研究に取り組んだが名を持たない女への羨望はいつしか名を持たない女に戦いを強いるこの世界への憎悪へ変わっていった
憎悪にかられた魔法使いはより熱心に魔法研究に取り組み望む者にすべての知識を与えると言われる世界の記憶へと至るだけの知識と技術を身に着けた
そして世界の記憶を訪れた魔法使いは守護者黒皇ウィラスにこう伝えた
「私が望む知識のすべてを与えよ」
と
黒皇ウィラスはその願いに答えた
魔法使いはこの世の理の核たる世界の結晶が鎮座する聖地を訪れ獣や守護者の攻撃をかいくぐり得た知識で結晶との同化を果たした
魔法使いは結晶から与えられる無限の魔力を用い世界の解体を始めたがそこに名を持たない女が現れる
女は世界の結晶の守護者ベリツと協力し結晶を砕くという方法で魔法使いを討った
守護者ベリツは女の願い通り結晶が砕けたことで行き場を失った荒れ狂う魔力を女の体に封じ込め決して魔力が漏れ出ないよう強固な封印を施した
これは女がすべての戦う力を失うことを意味した
しばらくして名を持たない女はその力を恐れた者たちに捕らえられ処刑された
死んだ女の体から荒れ狂う魔力があふれ出し以降各世界で魔力嵐が吹き荒れるようになった
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